関節リウマチの治療

 関節リウマチは慢性に全身性に(関節や肺臓や腎臓など)進行する炎症性疾患です。メトトレキサートや生物学的製剤などが使用可能になり、関節リウマチの治療は大きく進歩しました。以前は多くの患者さんに手術が必要だったのですが、激減しています。
 関節リウマチ初期の患者さんではまったく痛みがなくなるのが目標です。病気の進行を抑え、あるいは完全に治ることも夢ではなくなったのです。そのためには早期からの積極的な治療の有効性こそ有効です。

 ”痛みもこわばりもないので自分が関節リウマチだったのを忘れてました”と言われるのは専門医冥利につきます。
 この境地をすべての患者さんがそうなるように努力を続けています。

treat to target
関節リウマチを明確な数値目標を持って治療する。
tight control
関節リウマチの活動性や治療に対する反応をたびたび診て良い状態に保つよう厳格に治療する。

■この2つのポリシーが現在のリウマチ治療のキーワードです。診察ごとに血液検査の結果を見た上で患者さんに説明し治療を進めていく当クリニックの診療はたいへん有意義だと感じています。薬を出しっぱなしではよくありません。
■当クリニックでは日本リウマチ学会専門医・評議員である院長が患者さん一人ひとりに詳しく説明を行い、治療方針について納得したうえで治療を行っています。
■現在のリウマチ治療の中心はリウマトレックス/メトトレキサートで、当クリニックでは約2/3の患者さんに投与しています(2018年)。東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターや産業医科大学第一内科などの日本をリードする専門病院はもっと使っています。
■十分な治療によっても腫れや痛みがわずかな関節に残るときには、関節内へのステロイド注射を積極的に行っています。内服薬を増やすよりも副作用が少なく、骨破壊の進行を抑えることができます。
■かつてリウマチ外科グループに属し手術を数え切れないほどしてきた整形外科医ならではのテクニックで、時に超音波エコーガイドを駆使して指の小さな関節の病変も押さえ込みます。


■現在最も効果のある治療である生物学的製剤(レミケード、エンブレル、アクテムラ、ヒュミラ、オレンシア、シンポニー、シムジア)や分子標的治療薬(ゼルヤンツ、オルミエント)、デノスマブ(プラリア)による治療も行っています。投与前後に結核や肝炎など十分な検査が必要ですが、これまでの治療で効果が不十分な患者さんに投与しています。なにがなんでも新しい高価な薬剤という立場ではありません。
■疾患についての十分な理解、B型C型肝炎や肺炎・結核罹患なしというしっかりした評価が必要です。
■関節リウマチの激しい痛みのために続けられそうになかった仕事を続けることが出来ている患者さんも珍しくなくなりました。病気のために仕事をやめざるを得ないという病態は院長としては許容できないものです。痛みのために仕事や日常生活が制限されることのない状態が目標です。
 またごく一部ですが関節リウマチが治癒になり抗リウマチ薬を中止しても再発しない患者さんもおられます。
 痛みと腫れがなくなり、血液検査がやX線検査、超音波検査で異常がない状態が1年以上続けば、投薬を中止してみることもあります。症状が再発しなければ関節リウマチが治癒したのです。

■薬を中止すると再発することが多いので、最近のトレンドは薬の減量です。毎週の注射を10日間隔にしたり、2週間隔の注射を3週間隔にしたりします。治療の効果が十分あり、しかも持続できているときには試してもよい方法です。

■関節リウマチはリンパ節炎や間質性肺炎をまれに合併する疾患です。関節リウマチによる間質性肺炎とリウマトレックスによる薬剤性肺炎、さらにニューモシスティスが原因の肺炎の区別はいまだにはっきりしないことが多いのです。
■院長が医師になったころにはまだリウマトレックスの使用が一般化しておらず、大学病院のリウマチ外来で治療している患者さんも徐々にリウマチが悪化して関節が破壊されてしまい、手術が必要になることが普通でした。リウマトレックスが使えるようになって以後、関節リウマチの患者さんの苦しみは減って手術も少なくなりました。だから世界中の専門医がリウマトレックスを推奨するのです。
 リンパ節炎や肺炎などの合併症にじゅぶんな注意を払いつつ治療していきます。


■関節破壊が生じていないか、年に一度程度はX線検査が必要ですし、高齢者やステロイドを使用されている患者さんでは骨粗鬆症対策も不可欠です。X線検査のできない医療機関での治療は考えられません
 当クリニックではさらに院内での腰椎と大腿骨の骨密度検査が可能です。

画像の説明

生物学的製剤の点滴は長くかかることもありますが、
新しく更新した革製のリクライニングシートで快適に過ごせます。
自宅にも一台欲しい素晴らしい椅子です。高かったんですから。
リウマチ患者さんも週2~3回筋力強化や関節可動域のリハビリができれば、日常生活のうえでも動きやすくなるなど効果が現れます。

 残念ながらすでに関節の破壊が
進行してしまった患者さんには手術という手段があります。
膝、股、肘関節での人工関節手術の成績は優秀です。
安静時や歩行時のつらい痛みがかなりなくなるのです。
もちろん、手術が安全に出来るかどうか
術前に十分な検査と検討が必要です。
麻酔をしますから手術中はまったく痛みはありません。
手術については高い実力と実績があり
院長もよく知っている病院にお願いしています。

↑ページトップへ

関節リウマチと妊娠

 関節リウマチや炎症性腸疾患は若い女性の患者さんも多く、その妊娠、出産についてこれまで十分な根拠のある治療指針は、じつのところありませんでした。公表されている薬の添付文書の多くは妊娠、出産は禁忌と書いてあり、諦めていた患者さんも多かったと思われます。
 今年春、研究者の皆さんの長年の努力の結果が公表されました。

 全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、若年性特発性関節炎や炎症性疾患罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針

  これまで妊娠を考えると治療に使えなかった薬のなかでもほぼ安全に使える薬がいくつもあり、治療の可能性は大きく広がりました。
 これらの薬が大丈夫らしいことは専門医の一部には知られていましたが、公表されたことは素晴らしい進歩です。

検査値を理解しよう

 関節リウマチの治療では血液検査は欠かせません。
 わたしたちのクリニックには高速血液検査機器があるので当日多くの検査の結果を見て今後の治療を考えることができます。
 検査結果は当日患者さんにお渡ししていますが、アルファベットばかりでちょっとわかりにくいでしょうか。つぎのボタンでは検査の意味と結果を解説していきます。

検査値の説明

リウマチ患者のフットケア

  第45回広島リウマチ研究会で主任看護師Kさんが関節リウマチ患者のフットケアについて発表しました。
 リウマチ患者さんは足の変形によるたこの痛みに苦しんでいる方が多く、整形外科系の当クリニックでは専用の器具を設置し時間をかけてその治療に挑んでいます。医療関係者限定の研究会ですが、広大杉山教授をはじめ多くの方からお褒めの言葉を頂きました。
 看護師さんの役割について2018年12月1日も発表を予定しています。

画像の説明

最近は簡易なアーチサポート装具も患者さんの評価が良く、使っています。

2019/11/18累計:99 本日:23 昨日:19